ロシア、インドがコメの輸出を一時的に禁止!?

 

RTに、2023/7/29付での気になる記事があります。

ロシアがコメの輸出を禁止しているというものです。さらに、記事には最大の輸出国のインドも同様の措置をとる(とっている?)とあります。

日本人の主食だけに、ウクライナの小麦以上に気になるところです。

 

RTの記事の内容

こちらの、2023/7/29の記事です。以下はそのページの画像ですが、次章でその原文及び翻訳文を引用しています。

 

原文

タイトル「Russia announces ‘temporary’ ban on rice exports」という記事で、原文の内容は以下の通り。

The measure is aimed at stabilising the domestic market, the government says

Russia has suspended exports of rice until the end of the year, to support the internal market, the government announced on Wednesday.

“The government has imposed a temporary ban on the export of raw and processed rice. The restriction will be in effect until December 31, 2023,”the statement posted on Telegram said.“The decision was made to maintain stability on the domestic market.”

The ban does not apply other members of the Eurasian Economic Union (Armenia, Belarus, Kazakhstan and Kyrgyzstan) or South Ossetia and Abkhazia.

Moreover, rice can still be shipped abroad for humanitarian aid, or transited through Russian territory.

Earlier this week India, the world’s biggest rice exporter, adopted a similar measure, banning overseas sales of non-basmati white rice. New Delhi said the move would “ensure adequate availability” and “allay the rise in prices in the domestic market.”

 

自動翻訳

自動翻訳では、以下のようになります。

タイトル:「ロシア、コメ輸出の「一時的」禁止を発表」

記事内容は以下の通り。

政府によると、この措置は国内市場の安定化を目的としている

ロシア政府は水曜日、国内市場を支援するため、年末までコメの輸出を停止すると発表した。

「政府は生米と加工米の輸出を一時禁止した。この制限は2023年12月31日まで有効となる」とテレグラムに投稿された声明では述べられている。「国内市場の安定を維持するために決定した。」

この禁止はユーラシア経済連合の他の加盟国(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス)や南オセチア、アブハジアには適用されない。

さらに、コメは人道支援のために海外に輸送されたり、ロシア領土を経由したりすることができる。

世界最大のコメ輸出国であるインドも今週初め、同様の措置を採用し、非バスマティ白米の海外販売を禁止した。ニューデリーは、この措置により「十分な供給可能性が確保され」、「国内市場での価格上昇が緩和される」と述べた。

 

FAOのデータで見る、コメの生産、輸出、輸入の状況とロシア、インド国内での位置づけ

先般、「FAOのFood Balances公開データを可視化」するページ(※)を作成したこともあり、少し前の2020年のデータではありますが、世界のコメ事情について、また、ロシア、インドでのコメの位置づけについて、改めて確認してみました。

(※)「FAOのFood Balances公開データの可視化」ページとして、主に下表のような、ランキンググラフを表示する各種のページ(ItemやElementといった条件設定ができる)を作成しています。

この表のなかのNO5の(まとめ)ページに、どんなことができるのかなどの説明があります。

<これまでに作成した主な「FAO FoodBalancesデータ可視化ページ」一覧>

Noページ名概要
FAO FoodBlanceにもとづく、品目別食料自給率グラフ指定のAreaに関する、自給率順のItemランキング
FAO Food Balanceの可視化ーその他の各種ランキング(その1)指定のItem、Elementに関する、国別ランキング
FAO Food Balanceの可視化ーその他の各種ランキング(その2)指定Area、Elementに関するItemランキング
FAO Food Balanceの可視化ーその他の各種ランキング(その3)指定Elementに関する国別ランキング
FAO Food Balanceの可視化ーその他の各種ランキング(まとめ)

FAO Food Balanceの可視化ーその他の各種ランキング(その1)~(その3)についての解説

6FAOFoodBalncesデータの可視化ー自給率等の推移(2010~2020)指定Areaの主要Elementに関する2010~2020の推移

 

FAOのデータで見る、コメの生産、輸出、輸入の状況

以下、上記表のNo2のこちらのページで以下に示す各種の条件設定により、確認したものです。

コメの生産量ランキング 

設定条件:Item(Rice and Products)、Elements(production)

 

コメの生産は中国、インドが突出しています。ロシアの生産量は日本の10分の1くらいの様です。

<コメの生産ランキンググラフ>

<コメの生産ランキング>

NoAreaProduction Value
1China213611
2China, mainland211860
3India178305
4Indonesia55161
5Bangladesh54906
6Viet Nam42759
7Thailand30231
8Myanmar25983
9Philippines19295
10Brazil11091
11Cambodia10960
12United States of America10323
13Japan9706
39Russian Federation1142

 

コメの国内消費志向量ランキング

設定条件:Item(Rice and Products)、Elements(Domestic supply quantity)

コメの消費(Domestic Supply quantity)も、中国、インドが突出しています。ロシアでの消費は、日本の10分の1程度しかないようです。

<コメの国内消費ランキンググラフ>

<コメの国内消費ランキング>

NoAreaValue(1000tonnes)
China215090
China, mainland212822
India153471
Indonesia58548
Bangladesh55465
Viet Nam29079
Myanmar23803
Philippines21919
Thailand19868
10Brazil10609
11Cambodia10233
12Japan10214
44Russian Federation1283

コメの輸出量ランキング

設定条件:Item(Rice and Products)、Elements(Export quantity)

 

コメの輸出はインドが最大で、以下ベトナム、タイ、パキスタン、アメリカ、中国といった順になっています。後述で分かりますが、中国は最大の輸入国なのに輸出もしているようです。

<コメの輸出ランキンググラフ>

<コメの輸出ランキング>

NoAreaValue(1000tonnes)
India21693
Viet Nam8806
Thailand8585
Pakistan5824
United States of America4074
China3732
China, mainland3369
Myanmar2782
Brazil1777
10Uruguay1373
11Paraguay1173
12Italy1126
22Russian Federation226
41Japan54

コメの輸入量ランキング

設定条件:Item(Rice and Products)、Elements(Import quantity)

コメの最大の輸入国は中国ということが分かります。以下、フィリピン、サウジアラビア、マレーシアなどが続いていますが、これの国々への輸出をやめるのでしょうか。それとも人道的見地から対応するのでしょうか。

<コメの輸入ランキンググラフ>

 

<コメの輸入ランキング>

NoAreaValue(1000tonnes)
China5011
China, mainland4331
Philippines2921
Saudi Arabia2198
Malaysia1908
Côte d'Ivoire1850
Ghana1796
Iran (Islamic Republic of)1765
United States of America1684
10Senegal1683
11Mozambique1631
12South Africa1587
25Japan887
44Russian Federation378
161India

意外にも、Russiaは、わずかながら輸入があるようです。

 

Russia Indiaにおけるコメの位置づけ

以下は、上記の表のNo1のこちらのページで、Area(RussiaまたはIndia)、Item(Rice and Products)の設定条件で表示・確認したものです。

RussiaにおけるRice an Productsの位置づけ

以下のグラフ、一覧表でわかるように、ロシアにとってコメさほどのウエイトを占める品目ではありません。

<ロシアにおけるコメの各種指標グラフ>

 

Production

Domestic supply quantity

Import qunatity

Export quantity

<ロシアにおけるコメの各種指標>

ElemerntsRankingValue(1000tonnes)Ratio(※)Top Item
Production2811420.013295Wheat and products
Domestic supply quantity2912830.029005Wheat and products
Import quantity153780.139638Milk - Excluding Butter
Export quantity232260.005942Wheat and products

(※)Top Itemに対する比率

India におけるRice and Productsの比率

以下のグラフ、一覧表でわかるように、インドは、最大のコメ輸出国のため、輸出制限の影響はロシアと比べもにならないくらい大きいのではないでしょうか。

<インドにおけるコメの各種指標グラフ>

Production

Domestic supply quantity

Import quantity

Export quantity

<インドにおけるコメの各種指標

ElementsRankingValue(1000tonnes)RatioTop Item
Production31783050.481255Sugar cane
Domestic Supply quantity31534710.414227Sugar cane
Import quantity4470.000972Palm oil
Export quantity1216931.0Rice and Products

 

FAOデータで分かるその他の情報

 

ロシアの最大の輸出品目は小麦で、世界一

ロシアにとってコメのウエイトは、それ程のものではなく、なんといっても一番のItemは、「Wheat and Products」です。ProductionやDomestic supply quantityは、ChinaやIndiaに次ぐ量ですが、ロシアこそが最大の輸出国になっています。

それにしても、なぜコメの輸出禁止なのでしょうか。

<小麦の輸出ランキンググラフ>

<小麦の輸出ランキング>

NoAreaValue(1000tonnes)
Russian Federation38037
2United States of America27551
3Canada27511
4France21223
5Ukraine18487
6Germany12232
7Argentina11094
8Australia10656
9Kazakhstan7494
10Türkiye6545
11Poland5748
22India1474

 

中東、アフリカのコメ喰う人々

記事には、以下のよう記述もあります。

Moreover, rice can still be shipped abroad for humanitarian aid, or transited through Russian territory.

さらに、コメは人道支援のために海外に輸送されたり、ロシア領土を経由したりすることができる。

 

たとえば、中東やアフリカでコメを食料としている国のランキングを、こちら「世界のコメ喰う人々」から、抜き出すと、以下のようになります。(比較のため、Japanも含めています)

<中東、アフリカ諸国の一人当たりコメ需要>

NoRankingAreaKg/capita/YrNoRankingAreaKg/capita/Yr
21Senegal115.352192South Africa20.2
26Qatar101.732293Libya19.93
41Mali732395Jordan19.57
42Mauritania72.9624100Israel17.36
44Japan72.5725101Türkiye16.76
48Bahrain66.4726103Rwanda15.95
50Ghana65.7127104Democratic Republic of the Congo15.89
57Saudi Arabia56.1428105Congo15.85
60Kuwait52.2129108Botswana15.48
1063Egypt48.1630109Lebanon15.34
1165Oman46.631112Chad13.61
1267United Republic of Tanzania43.5332126Uganda9.86
1370Cameroon41.9733135Namibia8
1471Nigeria41.8534142Syrian Arab Republic6.34
1573Iran (Islamic Republic of)38.0835170Sudan3.44
1674Mozambique37.4736183Zambia2.36
1781Yemen31.1137184Zimbabwe1.82
1882United Arab Emirates27.6438185Tunisia1.71
1987Kenya21.61
2089Angola21.26

ロシアの一番の輸出品は小麦で、インドのコメの輸出量を上回ります。国際的な影響、あるいは支援にしても、小麦の方が有効と思われますが、なぜコメなのでしょうか。

日本への警告?のような気がしなくもありません。つまり、円やドルをいくら積んでも必要な食料が買えなくなるかも知れず、そしてなにより、紙幣で腹はふくれないということでは?

まとめ

「FAOの公開データを可視化ページ」を作ってみたので、世界のコメ喰う人々を確認してみたのですが、ほどなく、コメの輸出禁止措置という情報が、目に入りました。

コメを主食とする者として、気になるところにで、改めて世界のコメ事情を、FAO公開データから確認してみた次第です。

日本の場合、現時点でコメはほぼ自給できていることから、当面、直接的な影響はないでしょうが、間接的にいろいろな食料品の更なる価格上昇が心配されるところです。

ただ心配していても仕方ないので、個人で出来ることとして、田畑なしノウハウなしのド素人状態ながら、昨年から野菜の栽培を始めましたところです。将来、野菜がSeltSeedingで自生する状態を夢想などしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました