FaoからFoodBlanceに関するデータが公開されています。せっかくなので、特別知識のない当方などでも、その内容が見えるようにと思い、各国のカロリーベース総合食糧自給率をグラフ化してみました。但し、総合自給率の計算は怪しく、あくまで参考です。FAO公開データの把握には、品目別自給率のグラフ化と合わせてご覧いただければと思います。
総合自給率順および生産量順に自給率(折れ線)と生産量&国内消費指向量(共に棒グラフ)を組み合わせたグラフ、また、元になる数字一覧表を表示しています。
ただし、Food Blance Sheetの中のデータのみを用いて、簡便な方法で算出しているので、正確なところは、もとデータなどを確認ください。
以下、Ⅰ.解説とⅡ.実際のシステム画面で構成されています。解説をとばすには、こちらへ。
1.表示内容
以下の四つのグラフ、二つのデータ一覧表を表示しています。
(1)グラフ
以下の四つのグラフです。
1)総合自給率順の各国別総合自給率(折れ線)と生産量および消費指向量(棒)グラフ
※単位:自給率は(%)、生産量、消費指向量はともに、1000ton
2)上記1)から10件を抜き出して拡大表示したグラフ
3)生産量順の各国別総合自給率(折れ線)と生産量および消費指向量(棒)グラフ
4)上記3)から10件を抜き出して拡大表示したグラフ
(2)一覧表
上記のグラフの元データ(FAOデータを加工)を一覧表にしています。
(1)カロリーベースの生産量と娼婦指向量、および国別総合食糧自給率
(2)FAO元データ
2.元データについて
以下に元データの所在とその内容、およびカロリベース総合食料自給率算出の仕方を説明。
(1)出処
FAOのこちらのページFAOSTATからの公開データが元データです。
「DATA」の下にある「FoodBlances」から更に「FoodBalance」に進んだページからダウンロードできます。
この中から、予めyearsだけ「2020年」指定し、他は「Select All」で取得したデータを取り込んで、初期表示しています。
いずれは、様々な条件でローカルサイドにダウンロードしたcsvや、多少加工したものなどを読み込めるようにもしたいとも考えています。
(2)データ内容
FAOのデータには、Elementという項目の中に、以下の区分のデータが含まれていますが、自給率の算出に用いたのは、1)から5)までのデータです。
なお、1)、5)から13)の単位は1000tonです。
また以下に示すほかに、FatやProteinのSupplyといったデータもあります。
- 1)Production(※)
- 2)Food supply quantity (kg/capita/yr)
- 3)Food supply (kcal/capita/day)
- 4)Food supply (kcal)
- 5)Domestic supply quantity(※)
- 6)Import Quantity
- 7)Stock Variation
- 8)Export Quantity
- 9)Feed
- 10)Seed
- 11)Rosses
- 12)Residuals
- 13)Food(※)
(※)単位:1000ton
3.カロリーベース総合食料自給率の算出
品目別自給率の計算は、「食料自給率=生産量/国内消費指向量」で分かりやすいのですが、総合食料自給率の算出法は、農水省ページの解説やWikipediaの説明を見てもよく分かりません。ここでは、各品目の生産量と国際消費指向量をカロリー換算して合計し、それらの合計から、国産供給熱量÷1人1日当たり供給熱量 として算出しました。
FAOの解説にも精度には改題があるという説明があります。FAOから公開されている数字を知る手掛かり程度の意味あいのものとして、ご理解ください。
(1)計算法
簡単に考えていた総合自給率ですが、とてもややこしいとが分かりました。農水省やWikipediaの説明をみてもFAOの公開データでの計算法が分かりません。
そこで、ここでは、各品目のFoodSupplyに関する重量単位の値と、カロリー単位の値から換算係数をもとめ、各品目の生産量と、国内消費志向量をカロリー単位に換算したうえで、全品目の合計を求め、それをもとに、カロリーベースの総合食料自給率を算出することにしました。
主眼は、数値を評価することではなく、元データへの橋渡しになることにあります。
品目別自給率=国内生産量/国内消費仕向量
(国内消費仕向量=国内生産量+輸入量-輸出量-在庫の増加量(又は+在庫の減少量))
同じページにある総合食料自給率の解説です
総合食料自給率
カロリーベース総合食料自給率
カロリーベース総合食料自給率は、基礎的な栄養価であるエネルギー(カロリー)に着目して、国民に供給される熱量(総供給熱量)に対する国内生産の割合を示す指標です。
カロリーベース総合食料自給率(令和3年度)
=1人1日当たり国産供給熱量(860kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,265kcal)
=38%分子及び分母の供給熱量は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に基づき、各品目の重量を熱量(カロリー)に換算したうえで、それらを足し上げて算出しています。
次にwikipediaの解説ですが、こちらは全く分かりません。
- カロリーベース総合自給率
- カロリーベース総合食料自給率は熱量換算で指標化した食料自給率である[1]。
上記によらず、ここでの算出法は以下の通りです。
カロリーベース総合食料自給率について、まず、1)と5)をカロリー単位に換算するための換算係数を以下で求めます。
換算係数=365×Food supply (kcal/capita/day) / Food supply quantity (kg/capita/yr)
そのうえで、この係数を1)と5)に乗じて、全品目分を合計し、100×生産量合計/国内消費指向量合計として(%)単位の数字を求めています。
なお、品目別の自給率は、単純に上記2の1)を5)で割って、100を掛けています。
(2)結果の検証:農水省の公表値との比較
品目別自給率は、間違いはないと思いますが、総合食料自給率については、データに欠損があったり、計算自体も怪しかったりで、あまりあてにはなりません。
農水省が公表している数字と比較すると、数値自体はかなり相違があります。
FAOからの公開データへの橋渡しになれば幸いというよりありません。
ChinaとChina mainlandeの相違について
そうはいえ、ChinaとChina mainlandのProductionの量があまりに違うので、確かめてみたところ、データの欠損があり意図通りの計算ができていない様です。以下に示すように、China mainlandでは、(Item)sugar caneのFoodSupply(Kcal/capita/day)の値が0、FoodSupply(Kcal/capita/day)になっているためカロリー換算ができず、除外したことにより、大きな差になってしまいました。Chinaの方には、FoodSupply(Kcal/capita/day)の値があり、これをもとにカロリー換算に加えています。sugarともなれは、換算量が大きな数字になるため、Chinaの方は、大きな数字になりました。
自給率にも少し差が生じてます。他にもにもこうしたものがあるかもしれませんので、正しい状況を把握できるデータなのか、苦労してグラフ化したものの、正直なところ微妙です。
ですが、総合食料自給率に比べ、品目別自給率は、そんなに大きく違わないと思われるので、そちらをグラフ化をしたページを併せてご覧いただければ、FAO公開データの把握に役立つのでないかと思います。
4.若干の操作
現時点の機能では、単年度のデータしかないし、特に操作を要する機能は設けておりません。
できることは、拡大グラフの抽出データ移動と、データ一覧表の並びの変更くらいです。
いずれ年度の選択やcvsファイルの読み込み機能なども設けたいと思います
(1)拡大グラフ
「10件ずつ表示」ボタンをクリックするだけで、先頭から順次10件ずつ抜き出したグラフ表示になります。最後になるとそれ以上は移動しません。「元に戻る」ボタンで先頭に戻してから、同じことの繰り返しとなります。
(2)一覧表の対象国指定と並びの変更
それぞれの一覧表は、項目名の部分をクリックすると、昇順、降順にかわります。
また、FAO元データの一覧法は、国を選択して表示を変えることができます。
ただし、変わるまで、少々タイムラグがあります。
5.関連ページ
このページでは、総合食料自給率のみ扱っていますが、FAO Food BalceBalaceのデータにもとづく別のグラフを表示する以下のページもあります。併せて、ご覧頂くと、FAO公開データの理解に役立つかと思います。
(1)指定国の品目別自給率グラフ
任意の国を指定したうえでの品目別自給率グラフや一覧表は、こちらのページでご覧いただけます。
(2)指定品目に関する各国の自給率や生産量などのグラフ
品目を指定し、当該品目に関する自給率グラフを表示するページを準備中です。
Ⅲ。まとめ
FAO Food Balanceのデータに基づき、国別の総合食料自給率を求めグラフ化してみました。ほかに、品目別自給率グラフなどのページもありますので、そちらもご覧ください。総合自給率は正しいかどうか怪しいですが、品目別自給率に間違いはないと思います。
コメント