コメ禁輸(こちらのページを参照)に驚いている間もなく、こんどは、GDPでロシアにも追い越されそうな記事が出てきました。元々は世界銀行による記事ですが、それをSputnikが取り上げています。
海洋放出の問題でさらにGDPの低下が懸念されるなか、紙幣を積んでも食料を買えないという前に、食料費が高騰した場合、購買力そのものが追い付かなくなってきているということでしょうか?
2022年GDPに関する記事
以下は、2023年8月5日のSputnikの記事と、その元になっている World EconomicsのWebページ(Economics - GDP Size - Gross Domestic Products )の記事です。
世界銀行が2022年末の時点での世界の全諸国のGDPを評価した。それによるとロシアは日本とドイツに挟まれ、世界5位の経済大国に位置している。GDPに関する全てのデータは世界銀行および国際通貨基金の専門家らによって購買力平価説に基づいて厳格に算出された数値による。購買力平価説は米ドルで算出された。日本は5兆6750億ドルで4位を占め、世界経済大国トップ5に入った。そしてロシアも5兆5100億ドルで今回、日本に続いてトップ5に入っている。世界1のGDPを示したのは中国の31兆5590億ドル。これに米国の23兆1490億ドル、インドの15兆8750億ドルがつづいた。今回ロシアはヨーロッパ地域ではドイツ(5兆0110億ドル)を上回ってトップを占めた。一方で英国は今回、トップ10に入ってもいない。ドイツの後にはインドネシア、ブラジル、トルコ、フランスが続いた。世界銀行はまた2030年までのGDP成長率予測を発表した。予測ではトップ3には変化はなく、1位は中国の57.7%、2位はインドの55.5%、米国は16.5%で3位。最大のGDP成長率となると見られているのはバングラデシュの89.5%、ベトナムの85.5%で日本は今後10年で1.5%のGDP成長率予測となった。
記事の日本語訳
国内総生産(GDP)
2022 年、2023 年、2030 年の国内総生産 (GDP) (PPP INT$) の推定値以下に示す GDP データは、世界銀行と IMF が公表した購買力平価換算の公式各国データに基づいており、古いGDP 基準年の世界経済の推計値と非公式の経済活動の推計値を使用して修正されています。
表に示されているデータ品質評価は、生の公式データの信頼性に基づいており、修正により部分的に改善されています。ただし、統計能力の欠如、時代遅れの国民経済計算システム (SNA) の使用、または悪いガバナンス (特に数字を捏造する独裁者) を補うことはできないため、データ品質評価を表に残しておきます。警告。
DQR グレードが D または E の国データは、再推定後でも、A、B、または C グレードのデータを持つ国よりもデータが劣る可能性があります。
2022 年までのデータは、上記のように作成された世界経済の GDP 推計です。2023 年のデータは、2022 年の世界経済データに適用されたIMF の予測に基づいています。2024 年から 2030 年のデータは、2022 年までの 10 年間の世界経済の CAGR から得られ、今後数年間にも再現されています。
データソース: World Economy Research、ロンドン
世界銀行公開データによるグラフ表示
いつの間にこうなったのかと思い、これとは別に、世界銀行が公開しているデータがあったので、これを基にしてグラフ化するページを作成してみました。任意の国や年を選択して表示できます。
GDP指標として、(1)名目GDP、(2)実質GDP、(3)一人当たり名目GDP,(4)一人当たり国民総所得の4指標について、1960~2022までの間の期間を指定して、その間の推移を5か国まで折れ線グラフで比較でき、またその間の伸び率のランキングを見ることができます。
こちらは、古いデータということになるのでしょうか。上記にあるような現時点での購買力の評価とは開きがある様です。
冒頭の購買力平価との関係もよく分かりませんが、1960~2022までの動向を見ることで、その後の傾向や趨勢を推し量る上では、現在の結果を想定させるデータではなかろうかと思います。
世界銀行のページ公開されているなかの、4つの指標のいずれかを選び、国指定での推移、年指定でのランキングなどを表示できるようにしていますので、お試し下さい。
この可視化ページの詳細は、こちらをご覧ください。
以下は、この可視化ページにより、名目GDP、一人当たり国民総所得について、JAPAN、Chaina、India、RussianFederaion、UnitedStatesの比較グラフを表示したものです。
条件設定と、表示結果は以下の通り。
5か国比較のための、表示条件と表示結果
パターン1― 1960~2022の5か国の名目GDP推移の比較
条件設定
- 条件設定(1)指標指定:名目GDP
- 条件設定(2)指定期間:1960~2022
- 条件設定(3)国指定:日本、インド、ロシア、中国、アメリカ(Max5か国まで選択可)
表示結果
(1)1960~2022までの名目GDP推移比較グラフ
1990年代末から日本の停滞、2000年頃からの中国の著しい伸び、2020頃から、インド、ロシアが日本に迫ってきていることなどが見て取れます。
■推移グラフ
(2)伸び率ランキング
1960~2022年の間の名目GDPの伸び率ランキングを示すグラフですが、国と地域の数が多くて判別しにくいいので、一覧表と併せた確認が必要です。
■ランキンググラフ
一覧表では、選択した5か国を色分け表示しているので、見分けがつきます。国名での並び替えもできます。
これによると、伸び率は、China 4位、Japan 44位、India 53位、UnitedStates 109 位、RussianFederation 234位となっています。(国だけでなく、地域も含んだランキングです)
■一覧表の表示結果
パターン2ー 2000~2022の5か国の名目GDP推移の比較
パターン1から、期間のみ、2000~2022に変更してみました。
条件設定
- 条件設定(1)指標指定:名目GDP
- 条件設定(2)指定期間:2000~2022
- 条件設定(3)国指定:日本、インド、ロシア、中国、アメリカ(Max5か国まで選択可)
表示結果
2020からの推移では日本の停滞、2022年の下降と、インド、ロシアとの差が縮まっていることが、見て取れます。
■推移グラフ
この間の伸び率ランキングに、そのことが現れており、伸び率は、China 4位、RussianFederation24位のほか、India 34位、UnitedStates 188位、Japan 227位という順位になっています。
■ランキンググラフ
■一覧表の表示結果
パターン3-2000~2022の5か国の一人当たり名目GDP推移の比較
パターン2に対して、GDP指標のみを「一人当たり名目GDP」変更してみた結果です。
条件設定
- 条件設定(1)指標指定:一人当たり名目GDP
- 条件設定(2)指定期間:2000~2022
- 条件設定(3)国指定:日本、インド、ロシア、中国、アメリカ(Max5か国まで選択可)
表示結果
パターン2とは、若干様相が異なりますが、同じ推移をたどっているようです。
■表示グラフ
伸び率ランキングになると、パターン2と、ほぼ同様で、China 4位、RussianFederatin 17位、India34位、UnitedStates 166位、Japan 213位となっています。
■ランキンググラフ
■一覧表結果
まとめ
世界銀行が公開するデータからGDP指標をグラフ化したこちらのページを利用し、日本、中国、インド、ロシア、米国の名目GNP推移などを比較してみました。
冒頭に示す記事などに示された、最新のGDPランキング結果を予測させる推移になっているのではと思います。
すなわち、停滞する日本に対して、差を広げる中国、追い上げ、追い越すインド、ロシアといった動向です。
2000年頃には、一時的に一人当たりGDPが米国を上回っていたこともあったのに、遠い過去のことになってしましました。この先、海洋投棄のトラブルからさらに、落ち込むことが避けられない情勢です。
冒頭の記事のほか、日本など西側諸国では家計の富が減少しているという、こちらの記事もあります。
自給できていない食料を輸入するよりない日本にもかかわらず、食料費高騰時には、その購買力にも翳りが生じてくるかもしれないという未来に不安を抱かざるをえません。
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